再びパリ、こちらでのあれこれ

11月 14 2013

フランス技術アカデミーでの講演に呼ばれました

 今パリに滞在しています。今回はフランス技術アカデミー(National Academy of Technologies of France:NATF)例会での講演が主な目的で、未だにいろいろな所から声をかけていただけるハイブリッドプリウスの開発ストーリーとこれからの自動車がテーマで話をしました。

プリウスPHVのフランス実証試験を通じて知り合いになった、フランス高等教育機関グランゼコールの一つ、エコール・ド・ミン((ecole de mime)鉱山学校)の先生から依頼されての講演です。NATFでは、昨年10月に将来自動車の提言レポートを纏まとめて発行していますので、そのまとめをそのエコール・ド・ミンの先生が、そのあと私の講演と質疑応答含めると2時間たっぷり、質問攻めにあいました。

プリウス開発ストーリーはこのブログでも紹介していますがフランスでは新鮮だったようです。(自画自賛でしょうか?)明日の自動車の議論として今週日経BP社の技術サイトTechOnに寄稿したフランス・ストラスブールでのプリウスPHVの実証試験結果を紹介でも述べたようにEcoと“自由な移動手段:Freedom of Mobility”の両立として、ハイブリッド、その応用としてのプラグインに将来のポテンシャルを感じた話を強調しましたが、これには異論は全く出ませんでした。冒頭のプレゼン資料と日本語のオーラル原稿を紹介します。

図1

「日本語オーラル原稿」
20世紀は自動車の世紀、その幕を開けたのはこのT型FORDだと思います。
私は何度もMulhouse(ミュルーズ)のフランス自動車博物館*1を訪問しています。

あのブガッティコレクションに圧倒され、また欧州の自動車文化の幅の広さと深さに感銘を受け、何度行っても飽きることはありません。
あの自動車博物館を見学していると、自動車の発展が単に、人、モノを運ぶ移動手段としてだけではなく、人類の進化をけん引してきた“自由な移動手段、Freedom of Mobility” 追求の歴史だったように感じます。

プリウスは、環境、交通事故といった自動車のネガティブな影響がクローズアップするなかで、それに対処するための自動車の変革を探るプロジェクトからスタートしました。

自動車会社としては後追いだったトヨタですが、このエコと”Freedom of Mobility”を両立させる自動車の進化に貢献していきたいとの想いがしゃにむにプリウスの量産に突き進んだ決断の原点です。
*1 フランス東部、アルザス地方のミュルーズにあるフランス国立自動車博物館

これからの自動車屋の仕事は?

このような話をいろいろなところで紹介しています。エコだけではなく、自由な移動手段との両立をめざすこと、自動車バッシング、脱自動車に向かわない解決策を見いだすことが、クルマにのめり込んだ自動車屋のやるべきこととしてやってきたつもりです。

すべての方に賛同していただけると思ってはいません。さらに賛同いただいたかたにも、まだ今のプリウス、トヨタのハイブリッドではそこまで到達していないとのお叱りを受けることも承知です。私自身もそう感じています。さらに言うと、今年嬉しい驚きを与えてくれた好敵手、ホンダ・アコードHV、フィトHVもまだ私のめざしたい理想の”Freedom of Mobility”にはまだまだと感じています。

以前のブログでも述べたと思いますが、開発マネージャーには理想と現実の狭間で決断を迫られます。発売寸前に、改良したい部分、手を打っておきたい部分を残しながら生産スタートの決断を迫られます。また、当然営利企業ですから、赤字の垂れ流しは許されません。収益面からの決断も迫られ、もう少しお金をかけられればとの思いを抱きながら生産移行の決断が必要になります。やり残しを感じない開発マネージャーが存在するとすれば、お目にかかりたいものです。

フランスでの“Freedom of Mobility”の仲間

さて、今日の午前中には、もう一つ盛り上がるミーティングがありました。自動車関連で知る人ぞ知る、ベルナール・ダルニッシュさん*2と何回目かの再会です。

*2 ベルナール・ダルニッシュさん、1970年代から80年にかけて、自動車のラリーチャンピオンシップで名をはせた名ドライバー

ダルニッシュさんは、今は自動車の語り手として、フランスのTV、ラジオのレギュラー番組をお持ちで、クルマの現在、未来を発信されています。盛り上がり、意見が一致したのは”Freedom of Mobility”の考え方です。

彼が言っていたのは、フランスでも自動車嫌いの政治家が多くなり、“Freedom of Mobility”を理解してくれなくなってきているが、あきらめずに言い続けようとの話です。その自動車論議で盛り上がり、意見が一致したのが、エコだけではなく、”Freedom of Mobility”を両立させるのが未来の自動車のあるべき姿であるという意見です。

先程述べたように賛否両論はあろうかと思います。しかし、私も粘り強く日本で、この”Freedom of Mobility”を発信していくと約束をしました。

今、彼はプリウスPHVのモニターをやってもらっているようです。厳しい、プロドライバーからの”Freedom of Mobility”に向けた意見を言っていただくことをお願いし、次の再会を約束してお別れしました。

最後の写真は、NATFでの講演からの帰りシャンゼリゼの近くで見かけた興味深いクルマの写真です。今話題の電気自動車テスラ・モデルSがパリでやっている電気自動車のカーシェアプロジェクトAutolibeの路上充電ステーションで充電をしている状況の写真です。パリでも目を引くクルマですが、それでもお金持ちのセカンドカー、サードカーとして使われているクルマだと思います。

写真

急速充電でもないAutolibの充電ステーションで充電に何時間かけるのか、興味はつきません。(電池が空っぽから充電すると、フランスの商用電力、三相交流220V、標準15Aの充電で20時間以上はかかる電池を搭載しています)