この一年のハイブリッド、昨年のブログ記事を振り返って

昨年の9月にも、15年前の9月とのタイトルで初代プリウス発表、発売前の9月のエピソードをお伝えしました。今回はそのブログについてのそれから1年を振り返ってみたいと思います。

昨年9月、『トヨタの技術発表を内山田竹志副会長がされました』との書き出しで、トヨタの2012年環境技術説明会での当時副会長だった内山田さんの発表をとりあげ、その内山田さんが車両チーフエンジニア、私がハイブリッド主査として取り組んだ初代プリウスの発表・発売寸前の状況を取り上げました。その内山田さんは、今年の株主総会で会長に就任、トヨタの次世代自動車をリードするとともに、経団連副会長として日本の産業界のこれから、日本のこれからに力を発揮いただけることを力強く感じています。

ハイブリッド販売の好調が続く

また昨年のこの項では

『電子制御系の誤作動問題も濡れ衣が晴れ、今年は4年振りにアメリカでのハイブリッド車販売新記録を達成することが確実となってきました。』

『またFord Fusion ハイブリッド、ホンダ アコードハイブリッド、日産アルティマハイブリッドとライバルも現れ、某経済誌の「日本のハイブリッド車はガラカーか?」の?に対し、今年こそ、それを否定する答えがでると今から喜んでいます。』

と書きましたが、アメリカのハイブリッド販売も好調、昨年に続き、今年も販売新記録となること確実、カリフォルニア州ではハイブリッド車新車販売シェアが昨年比0.8%増の7.0%を突破、車種別でもプリウスファミリーが“シビック”“アコード”の従来車を抜いて最量販車種となっています。

ここで書いた、日産アルティマハイブリッド販売の声はまだ聞こえて来ませんが、アコード・ハイブリッドは今年10月から米国でも発売開始、アメリカ環境保護局EPAの公式燃費として都市モード50mpg(21.25km/L)、ハイウエーモード45mpg(19.13km/L)、その混合モード(コンバインモード)47mpg(20.83km/L)と公表、クラスが下で車両重量も軽いプリウスの混合モード50mpg(21.25km/L)に迫る高い公式燃費を記録、強力なライバルが登場することによりさらにハイブリッド普及に弾みがつくのではと期待しています。

品質は全ての現場から

『初めてづくしのハイブリッド開発』

、さらに

『最後の最後まで修正・確認が続けられた』

とのサブタイトルで、発表、発売ぎりぎりまでの修正作業、さらにリスクマネージ、コンプライアンスマネージとして、品質・信頼性監査、法規・届出対応についての新商品を送り出す“産みの苦しみ”について書かせてもらいました。

そして最後のサブタイトル

『すべての現場が努力したからこそ量産ハイブリッドは生まれた

』として「現地、現物、現車、現場」重視のクルマ作り・もの作りの重要性をとりあげ、その現場ななにも「開発現場」「生産現場」だけではなく、

『販売店の営業現場、サービス現場、発表イベントや発売イベント、さらにはその年のCar of the Year獲得をめざす広報・宣伝スタッの現場、そのさまざまな現場作業の進行を見守りコンプライアンスチェック、現場マネージの日々のディシジョンに承認を与える開発、生産部隊の役員を含めたマネージメント現場、それらを総括するトップ役員を含む経営現場までの全ての現場の意味で使っています。』

と書きました。この「現地、現物、現車、現場」主義を貫かれたのが、先週お亡くなりになった豊田英二さんです。

昨年のブログで書いたように、今年の3月末にはトヨタハイブリッド車の世界累計販売台数が500万台を突破、年内の600万台はちょっと無理かもしれませんが『普及してこそ環境に貢献』と高い志で取り組んでいるようで、ライバルとの切磋琢磨でエコだけではない走る魅力も高いハイブリッドが当たり前に時代の到来が期待できそうです。このハイブリッド車が日本復興、復活のけん引役になってくれるのではとの期待もまた、岩手工場で生産される「アクア」「カローラハイブリッド」がその役割を担ってくれているようで、心強く感じています。

環境立国の日本へ

最後に書いた

『日本の政治現場だけが、この現場力の蚊帳の外に置かれている日本人として情けない現状を、これこそ何が何でも早急に打破し、エネルギー、環境技術立国として世界に貢献できる日本への変革を急いで欲しいものです。』

では、昨年の年末選挙で民主党野田政権から自民党安部政権に代わり、政治現場で現場力が蚊帳の外の状況打破に少しは期待が持てるようになってきましたが、『エネルギー、環境立国』への道のりをこれは政治主導でスピードアップして欲しいものです。