パリBEVカーシェア・オートリブの今

9月 12 2013

今、パリに滞在しています。ある石油会社から将来モビリティについてのトップレクチャーを頼まれ、久しぶりの欧州出張です。

出発日朝の成田エクスプレスも結構な混雑で、トラベルバッグを車室入り口のロッカーに置けないほどでした。また成田空港、ラウンジもまた搭乗機もいつになく混雑していました。9月の今時分は欧米のバケーション明けで日本からのビジネス客が増える時期ですが、今年はそれ以上に増えているようで、経済回復の兆しを感じました。

長く続いた猛暑とその後の残暑でバテ気味でしたが、こちらは到着日の最高気温14℃と肌寒いくらい、公園のプラタナスも色着き初めており、既に秋のさなかの印象です。

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自動車業界は今週末からフランクフルトモーターショーが開催され、一般公開は今週14日(土)からですが、それを前に10日からメディアデー、飛行機にはこのフランクフルトモーターショーに出席の自動車関係者も多かったようです。

汚れたままのBlue Car

さてそんな今日の話題は、パリの電気自動車カーシェア、オートリブの今です。オートリブはパリ市長の肝いりで、フランスのコングロマリットであるボロレー社のトップボロレー氏が企画し、巨額の個人資金を投入したプロジェクトです。

二年前の開業時から、フランスに出張にでかけるたびに定点チェックとして宿泊しているホテルの近くの貸し出し&充電ステーションとクルマの状況を見て回ってきました。その印象記です。

BEVの利用法としては、このような都市内カーシェアはありと思っていました。パリ市内の自転車レンタル“ヴェリブ”のBEV版がオートリブです。最初の計画は全て具体化し、パリの中心部を中心に貸し出し&充電ステーション整備が終わり、次の段階で郊外展開が計画されているようです。

確かに、市内のいたるところにステーションがあり、街でも時々走っているのを見かけるようになりました。ステーションも貸し出し中の空きステーションが目につくようになりました。

Autolibはレンタルと違って、Face to Faceの貸し出しではなく、インターネット利用の無人&自動の予約、貸し出しシステムです。しかし、今回はその問題点も感じました。まだサービス開始2年ですが、不特定多数の無人貸し出しが原因と思いますが、クルマが汚くなり、傷だらけ、まどから除いてみてもシートの破損、汚れが目につきます。

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車両の清掃は多分やっているとは思いますが、ひどい状況です。程度の良いクルマが開いていても、使えるクルマは予約時に指定され、その変更ができなく、程度の悪いクルマにあたったユーザーの苦情も多くなっていると聞きました。

レンタカーとも違い、貸し出し前のチェックなど行われていないため、このような自体に陥っているようです。自分のクルマでない不特定多数が使うシステムでは、こうなることが心配されていましたが、まさにその状態に陥りつつあるように感じました。たった2年でこの状況ですから、先が思いやられます。

どこまで、クルマとして使い続けることができるのか、また修理、メンテナンス費用を払ってビジネスがどうなるのか、その運営は厳しいように感じました。

車両の偏たよりが顕在化

また、シャンゼリゼー付近など中心部のステーションでは、朝から空きスペースが多く、稼働率が高いように感じましたが、パリ在住の知人から聞いたところによると、中心部のクルマは夜間に借り出され、郊外の自宅に持っていかれ空きが多くなっていることが問題となっているそうです。

自宅に持っていき次の朝にそのクルマを使えばと、駐車所の心配もなく中心部のステーションに返せるという、使用者の都合に合わせた使い方が多く、それによって車両の偏在が出ており、朝借りようと思ってもクルマがない状況とのことです。

当初の意図とは違った使い方で、偏在したクルマを自転車レンタル、ヴィリブのようにトラックに積んで配置しなおすことなどはそう簡単にできず、これもまた問題のようです。

大都市のBEVカーシェアはBEV普及の手段、さらに都市内への自家用車乗り入れ規制とセットで、新しい都市交通システムにしようとしていますが、この先どうなるか今後も注目して見ていきたいと思います。BEVだけではなく、クルマの保有から、レンタル、カーシェアの動きが日本でも強くなってきていますが、こうした自己保有ではないクルマでその維持管理はうまくいくかどうかが拡大できるかのポイントになると思います。

メンテ費用、修理費用がかかり、その保険費用まで積んでいくと、会費、使用料をあげざるをえず、ここでも収益性が問題となってきます。欧州でもオートリブに続くBEVカーシェアの動きはありますが、パリの様子をみているというのが実態のようです。