将来自動車エネルギー/次世代自動車 Weekly Mail Newsから

3月 21 2013

 昨年11月から、弊社コーディアでは会員向け有料サービスとして、自動車関連の燃料・エネルギートピックスとハイブリッド車(HV)、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)、バッテリー電気自動車(BEV)、水素燃料電池自動車(FCEV)等の次世代自動車関連のトピックスを欧米メディア、インターネット情報を収集・選別し、エネルギー、次世代自動車それぞれ隔週毎に配信しています。将来エネルギーと自動車電動化技術が次世代自動車のゲームチェンジャー役であることには異論の余地は殆どないという状況ですが、それでも正確にこの先を見極めることは極めて難しいことは昨今のリチウムイオン電池ベンチャー、EVベンチャーの栄枯盛衰をみていても明かです。

 私も現役時代から、自動車に関わるエネルギー、環境問題とそれに対応する将来自動車技術の情報収集には感度を高めて、パイプも拡げて取り組んできました。もちろん、インターネット時代に入ると、Web経由のさまざまな情報やメールでのやりとりが溢れるほど増え、かえって情報の多さに埋もれてしまい、折角のパイプもその中で取捨選別ができずチョーキングをおこしてしまうことが心配なくらいです。しかし、その多くの情報をしっかり分析し、流れを見、表から、裏から、また関連情報の繋がりから整理すると、さらに過去の経験から振り返ると大きく読みがはずれることはそれほど多くありません。

 その情報の山からいくつかピックアップし、毎週、毎週、会員向けとしてメール配信を続けて居ます。もともとは、自分用の情報収集としてスタートさせたものですが、内部用だけではもったいない、トピックスリストの配信サービスからスタートさせ、その時々の考察とそのトピックスの流れからシニアな自動車エンジニアとしての分析を一般メディア記事とひと味ちがう切り口でお伝えできればと考えています。

一年前とは大きく様変わりした次世代自動車を取り巻く環境

 BEVブームが下火になり、これに入れ込んで政府資金をあてに先行設備投資をおこなった電池ベンチャーは、結局は倒産、もしくは中国あるいは欧州の自動車部品大手に吸収されるかし、今では見る影もありません。BEVでなければ次世代車の夜も明けず、HVは日本のガラカー、トヨタはHVに拘るあまりBEVに乗り遅れる、すり合わせ型のHVよりもモジュール型でシンプルなBEVがゲームチェンジャーと囃した声も、ほんの一年前までは巷間に溢れていたものですが、聞かれることは稀となりました。
 
 一時はグリーン・ニューディールの旗頭として扱われ、政府資金がR&Dと生産設備投資に投入されたMIT発のリチウムイオン電池ベンチャーA123システム社が昨年倒産し、その再建に中国企業が乗り出し連邦議会で国益を損なうと騒がれるなど、間違いなく大きな揺れ戻しがきています。電池に限らず、充電器、BEV/PHV生産、太陽光発電などグリーン・ニューディール関連ベンチャーの経営破たんが続きました。もちろん、次々の新ビジネスを生み出すアメリカの活力は参考にすべきですが、ブームが去ると転身が早いのもアメリカの特徴、大学、国立研究所テーマの盛衰をフォローしていくと、そのドラスティックな切り替わりに驚かされます。

 一方、イナーシャーが大きいのが日本の政と官で、いまのレベルの急速充電インフラにアベノミクスによる景気浮揚を旗印に国家予算が投入されるなど、情報音痴、情報分析不足のままで、ただでさえ財政赤字の中で国民の血税をブームが去った後で投入することにならなければ良いがと心配しています。

 もちろん、BEV全体の未来が消え去った訳ではありませんが、急速充電インフラを拡げていけばBEVの普及が加速するとの見方は、普及が推し進められるCHAdeMOの由来である、15分程度のティータイムで家に帰り付ける50km程度の緊急充電用と説明した東電の方々の当初の狙いから大きくずれています。そもそもの想定では、ここまで大量の資金を投入して急速充電網を準備せずとも、統計上は殆どのユーザーのトリップが短距離で、その範囲の利便性によってBEVが飛び立てるという計画だったはずです。これまでのガソリン車は5分程度の給油時間で500km、ハイブリッドなら1000kmも走れるクルマの代替として15分で50kmでは全体として同じ輸送距離を走らせるとすると10倍~20倍の充電時間、充電スポットが必要との計算となってしまいます。

 電動自転車、電動スクーター、価格次第ですがオールウエザーのコミュータなど電動自動車の活躍の場はあると思います。この別ジャンルのモビリティとして、トヨタがフランスのグルノーブル市でフランス電力公社と組み、政府、地方自治体の支援を受け公共交通機関のターミナルからのラスト・ワン・マイル(Last One Mile)モビリティとしてコミュータータイプのEVカーシェア実証プロジェクト実施を発表しました。このようなEVカーシェアがビジネスとして成り立つのか日本でも過去に何度も失敗したEVカーシェア/レンタカーの二の舞になるのか、パリのEVカーシェア オートリブ(Autolib)など類似EVカーシェアプロジェクトと合わせて注目しています。

 プラグインハイブリッドも現時点では販売状況は思わしくありませんが、この軽BEVとプラグインハイブリッド用ならば、安価なAC普通充電で充分で、集合住宅、勤め先駐車場、ホテル、ショッピングモールなど、出先で簡単に充電できるようになればその充電量にみあった石油消費削減に繋がる筈です。

アメリカ・シェールガス革命の衝撃、激動するエネルギーシナリオ

 化石燃料資源のトピックスでは、シェールガス・オイルのトピックスがひきも切らず、これもこの3年で状況が大きく変化し、一時期盛んだった石油資源の生産ピークは既にすぎ、一気に奈落の底への供給量が減少していくというピークオイル論はほとんど聞こえなくなっています。しかし、エネルギーセキュリティ確保、これまでの国際的な不況対策で地球温暖化対策どころではありませんでしたが、CO2削減への取り組みが不必要になったわけでは決してあしません。ただし、世界レベルでも、3.11後の日本でも、電力の低CO2化が足踏み状態でBEVがCO2削減の決定打にはならないこともBEVブームに水をかける要因にもなったように思います。
 
 さらに、最近の中国PM2.5など広域大気環境汚染問題も、自動車だけの問題ではありませんが、まだまだ次世代自動車としてグローバルに取り組むべき問題としてクローズアップしてきています。中国でのBEV普及は、CO2削減ではハイブリッド比較では逆効果になるばかりか、PM2.5など日本への影響も大きな広域大気環境汚染の悪化まで考える必要があることを示唆しています。

デジャビュに溢れるトピック、過去にも未来への答えがある

 エネルギー資源問題、大気環境問題、地球温暖化問題、自動車だけに留まりませんが、溺れそうなほどの情報の海の中からトピックスの大きな流れを俯瞰しても、なにか過去のデジャビュ(既視感)と感じてなりません。~1950年のロンドンスモッグ、ロス光化学スモッグ、四日市公害問題、東京柳町交差点の鉛公害問題などなど、次世代自動車の流れでも1990年代初めの加州ZEV、それに火をつけながら消えていったGM EV1 BEV、その替わりと騒がれたメタノール、ガソリン改質、そのあげく水素に収斂した燃料電池自動車ブーム、そして今回の第3回BEVブーム、そしてまた水素燃料電池自動車の浮上との繰り返しと感じます。以前から何が変わったのか、どこに進化があったのか、情報の掘り下げがによる、トヨタ流ですが、なぜ、なぜ、なぜの繰り返しで次世代自動車の本命、ゲームチェンジャーを見極めてやろうと思っています。

 このメールニュースについてですが、右肩にメールニュースのサイトへのリンクを張ってあります。そこには、これまでのニュースのヘッドライン部分のみですが掲載していますので、ご興味のあるかたは覗いていただければと思います。