プラグイン自動車の売れ行き

9月 06 2012

次世代自動車としての有力候補、外部電力で電池を充電して走るプラグイン自動車として100%電気だけで走るバッテリー電気自動車(BEV)と内燃エンジンを搭載し充電電力とエンジンパワーを使い分け、もしくはミックスして走るプラグインハイブリッド車(PHEV)の売れ行きに注目しています。日産LEAFは東京、横浜の首都圏だけではなく、この静岡東部の田舎でも時々みかけるようになってきました。

販売台数統計を見ると、図1に示すように昨年2月の日産LEAFの初期受注の一斉納車と思われる急増と、昨年3.11東日本大震災の影響での自動車生産落ち込みがあった昨年の3月~8月を除くと1,000台~1,500台を推移しています。個人用としても売れているようですが、法人用が多いようで、わが家の近くでも団地のカーシェア、駅のレンタル、また市役所のクルマとして使われるようになっています。

プリウスPHVは、派手なイラストのついた豊田ナンバーのトヨタ関係者が乗っていると思われる社会実験用限定車を見かける程度で、今年の量産モデルを見かけることはそれほど多くないことが残念です。今年になって震災影響も解消し、さらにエコカー補助金の後押しもありハイブリッド車の売れ行きは絶好調、しかしBEV、PHEVのプラグイン自動車の販売は伸び悩み状態にあります。今年1月~6月までの従来車、ハイブリッド車、電気自動車の新車販売シェアを図2に示します。プラグインハイブリッド車(と言っても現状ではプリウスPHEVの一車種です)の販売台数はハイブリッド車の内数扱いとなっており実数がつかめませんが計画の販売台数には達していないようです。

苦戦するアメリカ

アメリカEDTA(Electric Drive Transportation Association:電動車両協会)Webページの販売統計サイトのデータでは、アメリカでの昨年度のプラグイン自動車の販売台数が、電気自動車10,060台、プラグインハイブリッド車7,671台、計17,731台となっていました。またハイブリッド自動車の情報を発信しているHybridCARSの統計データサイトによると電気自動車の内訳では日産LEAFが9,674台、Smart ED 302台、i-MiEV 76台、プラグインハイブリッド車は、その全てがGM Chevy VOLTでした。

このHybirdCARSサイトデータからまとめた20012年1~6月までのデータを図3に示します。図に示すようにアメリカではハイブリッド車でも新車販売台数のシェアが3.0%にしか過ぎません。加えて電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(EREV)は低調で、0.1%、0.2%にしか過ぎません。ちなみにこのハイブリッド車(HEV)販売の80%以上が日本のハイブリッド車となっており、今年は5年振りに販売新記録の更新は間違いないところまできています。

アメリカでは、カリフォルニア州のゼロエミッション(ZEV)規制強化が決まり、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)をある比率で販売しなければいけなくなり、ZEV規制強化対応として各社からBEV、PHEV発売のアナウンスが流れています。しかし、いくら法律で販売義務付けを決めようが、お客様に買っていただけないクルマでは販売を伸ばすことはできません。まだまだBEV,PHEVではクルマとしての性能、EV航続距離、販価では買っていただけない状況ですので、僅かのマーケットで叩き合いの挙げ句の果て、赤字の垂れ流しの叩き売りになるのではと心配しています。

公共用途が支える欧州

一方、BEV販売が大きく伸びているのが欧州マーケットです。その中でもフランスのBEV販売が、この欧州経済危機、ユーロ安で新車販売が急激に落ち込んでいる中で昨年比2倍以上に大きく伸びています。今年1~6月のフランスでのBEV販売ランキングを表1に示します。この表で販売台数1位のボロレBlueCarは昨年秋にスタートしたパリ市が支援をし、フランスのコングロマリットボロレ社が持ち出しで資金を投入したBEVカーシェアプロジェクトAutolib用の販売で、この6月の販売では販売台数2台と急減しています。

2位/4位に入っているルノーTwizyは都市内用の前後一人ずつ、小さな二人乗りのBEVで、これもまたフランス地方自治体支援のBEVカーシェアプロジェクト用途が多いようで、これからの急増は見込めない状態です。日、米、欧のプラグイン自動車の販売が頭打ちとなり、欧米で雨後の竹の子ように乱立したBEVベンチャー、それを当て込んだリチウムイオン電池ベンチャーの経営破綻が目白押しとなってきているのが気がかりです。

プラグイン車の普及は根本から

プリウスで先鞭を切り、トヨタ*ホンダで競い合い次世代自動車一番手として普及拡大を果たしてきたノーマルハイブリッド車に続き、2009年の三菱i-MiEVと日産Leafの量産化で幕を開けた電気自動車実用化競争のいずれも日本勢がリードしてきました。唯一プラグインハイブリッド車では、GM Chevy VOLTに一番乗りの座こそ譲りましたが、2009年末のプリウスPHVの少量限定リース販売による社会実験に引き続き本年1月からプリウスPHVの量産販売開始と次世代自動車実用化競争のトップランナーを維持しています。

しかし、期待が大きかったこのプラグイン自動車の販売が変調をきたし、これは補助金をいただいても販価が高すぎて売れないことに加え、充電コンセント設置の工事費、設備費がばかにならず、さらに日本、欧州の都市部での集合住宅の駐車場ではその充電コンセントですら設置できるところが少ないことに起因しているようです。

この充電コンセントでは、感電防止、安全第一ですが、低圧電力での安価追求がなにより、政策面からの後押しを期待します。これも、結構時間が掛かる話ですので、やはりノーマルハイブリッド、エコラン、さらにはほんの僅かでも減速回生で補機駆動用電力をかせぎ低燃費を目指す変革が重要、まず日本マーケットがハイブリッドに大きく動いたように、アメリカ、欧州で勝負のできるハイブリッド車を日本勢リードでやって欲しいと思います。その先にStep by Stepで集合住宅の低電力充電コンセント設置を進め、プラグイン自動車普及を目指すべきと思います。