プリウスPHVの米国公式電費と燃費

5月 17 2012

アメリカでもプリウスPHVが販売開始しました

プリウスPHVが日本に続き、アメリカで連邦環境保護庁(EPA)とカリフォルニア州大気資源局(CARB)からの認証・認可を受けて3月から販売を開始しました。
販売開始後の販売実績としては3月911台、4月1,654台とまずまずのスタートを切っているようです。このうち4月の1,654台、電気自動車やGMシボレーボルト・レンジエクステンダー型電気自動車(これもエンジンを搭載したプラグインハイブリッドと認定当局は定義していますが)など、電気を外部電力で充電できるプラグイン自動車全体の販売台数3,595台でしたので、シェアとして46%を獲得しました。

アメリカの一部メディアでは、この数字を見て4月の販売台数が1,462台だったシボレーボルトが早くも抜かれたとかき立てていましたが、まだまだ僅かな台数の中での話です。また、この4月の販売台数には、これまで実証試験をおこなってきたパートナーや、プリウスをカンパニーカートして多量に使っていただいた会社関係への事前オーダーへの配車が主体で、今後拡大していけるかはこれからのことのようですので、アメリカにおけるプリウスPHVは今後要注目です。

図1米国電動自動車販売台数

上の表は、昨年のアメリカに置ける電動自動車の販売台数になります。昨年は、ノーマルハイブリッドを含む電動自動車の総数で286,367台、東日本大震災とタイ洪水の影響による日本製ハイブリッド車の深刻なタマ不足もありましたが、新車販売全体の伸びには追いつかなかったものの、2007年以来の増加に転じ、今年に入っても好調な販売を示しています。

しかし、シェアでは、2007年の2.99%から、トヨタの品質問題の影響が大きく尾を引き、2.22%へと後退しています。しかしながら今年に入り、電動自動車の販売台数が大きく回復、1月~4月のシェアも3.39%と2007年のピーク時を越えており、今年の台数、及びシェアでの記録更新が期待されます。

加えて今年は、Ford フュージョンハイブリッドのモデルチェンジ、日産アルティマ新ハイブリッド、ホンダアコードハイブリッド、さらにはトヨタRAV4EV、Ford フォーカスEV、ホンダ ジャズEV、アコードプラグインハイブリッドなど、新しいハイブリッド、プラグイン自動車が販売を予定していますので、これがどのように販売を伸ばしていくかに注目されます。世界最大の自動車市場であるアメリカの今後の販売実績が、以前触れた日本ハイブリッド車ガラパゴス論の正否を問うことになるでしょう。

しかし、この中で電池充電型自動車(以下プラグイン自動車と記述)のみ限ってその販売動向をみると、2011年通年でも17,731台に留まっています。電動自動車の中のシェアとしても6.19%とまだまだ次のサステーナブル自動車の担い手というにはほど遠い状況にありましたが、あらたな参入でマーケットがどう動くのか注目されます。

プリウスPHVのアメリカ基準燃費は?

さて、冒頭でも書きましたが、アメリカで自動車を販売するということは、プリウスPHVもアメリカでの公式電費、EV航続距離、ハイブリッド燃費、ハイブリッド航続距離が、排気、燃費の認定官庁である、連邦環境保護局(EPA)から発表されたということです。アメリカでは、このEPAから発表される公式値を、販売店ではクルマのフロントウインドーにEPAが示す指定の書式で作られてステッカーとして添付することが義務づけられており、別名ステッカー燃費とも呼ばれています。

このブログでも何度かご紹介しているように、このステッカーに記載する燃費値は、それまでの燃費表示値が、実際にユーザーが使った時に実現できる燃費からの解離が大きいとEPA自体が訴えられ、ユーザーの平均燃費にできるだけ近づくように2008年に、算出方法の大幅改定を受けたものです。

この際、EPAではかなり大がかりなユーザー燃費調査を行い、EPAの排気・燃費認証試験として行う、米国シティーモード、ハイウエーモードだけではない、寒冷地のCOを規定する零度C以下の低温試験、夏のエアコン運転を想定した試験、急加減速が含まれるアグレッシブドライブ燃費など、さまざまな走行データからユーザー燃費の平均値に近くなる調整方式を創り出しました。当然ながら、アメリカのユーザー燃費の平均に近く、これがまた日本のユーザー燃費にも近いものになっています。

電気自動車やプラグインハイブリッド車の電力消費評価にもエコラン等をあまり考慮に入れないこの測定方法を適用していますので、この季節の私の実走行データと比較しても充電量や燃費の結果からもやや悪めの値になりますが、冬のヒーター運転、夏のエアコン運転などを考慮に入れると年間アベレージとして結構一致する値となっているではないかと思います。

2011_Toyota_Prius_Plug-in_EPA_label

図2 プリウスPHV EPAラベル

しかも、EPA公式燃費掲示サイトでは、走り方によりクルマの燃費は大きく変化すること、燃費向上小技集、そのクルマのユーザー燃費調査の結果なども表示されており、エコカー購入の参考データとして活用されています。さらにEPAサイトをいろいろ調べて見ると、補正前(non adjusted)の生の燃費計測結果と修正後(adjusted)が、米国シティーモード、ハイウエーモード、さらにそのミックスであるコンビ(combination)燃費まで知ることがきます。
http://www.fueleconomy.gov/
http://www.epa.gov/otaq/carlabel/index.htm
http://www.fueleconomy.gov/feg/download.shtml

プリウスプラグインの米国EPAのステッカーでは、シティー/ハイウエーのコンビモードとして、電池にエネルギーがあるプラグイン走行(この評価モードで短時間エンジンがかかり、そこで消費したガソリンと電費を合わせたデータとして表示)ガソリン換算95マイル/ガロン(リッター40.2km相当)と示されています。このときのプラグイン走行航続距離は11マイル(17.6km)と日本のJC08基準の26.4kmに比べるとかなり短い航続距離とされています。

電池の充電エネルギーを使い終わり、ガソリンだけで走るHV走行の燃費は、ノーマルプリウスと同じ50マイル/ガロン(リッター21.2km)が公式値です。日本向けと米国向けでは車両諸元が若干違いますが、日本の民間燃費サイトで報告されるユーザー燃費や、私が使っていた前のプラグインプリウスでの年間通算HV燃費の22.5km/lよりも少し悪い値となっています。そしてこれで、同クラスの従来車にくらべ、アメリカユーザーの平均的な走行距離走ったとして、ガソリン代を7600ドルセーブできると表示されています。
また、充電電力とガソリンの両方を使った航続距離として540マイル(894km)と表示されています。

ボルトやリーフと比較してどうなのか?

参考として、GMシボレーボルト、NissanリーフのEPAステッカーも併せて載せておきます。ここで面白いのは、プリウスプラグインのステッカーのプラグイン走行燃費95マイルガロンのところには、電気とガソリン両方でのガソリン換算コンビ値と表示されているのに対し、ボルト、リーフとも電気のみと表示してあるところです。

2011-chevy-volt-epa-mpg-sticker

図3 シボレー・ボルト EPAラベル

2011-nissan-leaf-epa-mpg-sticker

図4 リーフ EPAラベル

前述のように、今のEPAのステッカー燃費算出には、大きな加速度で標準モードよりも高速を走行するモードが含まれていますので、どこかでエンジンが掛かり、電気とガソリンの両方と記述されたようです。しかし試験データの詳細を見れば、その時のガソリン消費量は燃費換算で0.2ガロン/100マイル、500マイル/ガロン(リッター402km相当)と、極一瞬だったようです。この辺にEPAの連中の厳密さが表れており、この組織と長いつきあいをしている私などはいかにも彼ららしいなと感じられた箇所でした。

さて、このステッカー比較の電力消費では、やはり純電気自動車のリーフが一番よく、99マイル/ガロン、次がプリウスの95、ボルトは93と表示されています。この航続距離では、ボルトが合わせて379マイル(606km)、リーフはバッテリーだけですので、EPA基準では77マイル(123km)となり、これまでの米国シティーモード基準、日本のJC08基準と比較して極めて厳しい数値となっています。

こういった公式ラベルで年間燃料代やガソリン代セーブ額まで、販売店の展示車にまで表示させるところがアメリカの面白いところです。ホンダがこのステッカーにも表示する燃費値を広告に使いその値と自分のクルマでの走行燃費にギャップがあると訴えられたのもアメリカならではと思いますが、こうしたEPAの厳しめの調整公式燃費しか広告にも使うことができないのに、何故訴えられたのか疑問です。

更にアメリカらしいのは、GMがサイトですぐ、このEPAの公表データを使ってプリウスPHVとボルトの使い方による燃費比較を報告しているところです。
http://gm-volt.com/
この比較については、また別の機会に報告したいと思います。

いずれにしても、電池を充電するプラグイン自動車の普及には、安く、安心して使える充電設備の普及、マンションなど集合住宅での充電設備整備、そして電池の寿命や価格など、普及には残存課題の克服が先決、さらにその充電電力低CO2化をどのように進めていくのか、将来エネルギー政策全体の中で普及シナリオを見直す必要がありそうです。