次世代自動車のゆくえードイツより

12月 01 2011

ドイツの次世代自動車の現状

週末にパリからドイツ・デュッセルドルフに移動し、デュッセルドルフで週末を過ごし、28日の月曜日にはデュッセルドルフから北東に特急で1時間20分ほどのMünsterにあるMünster大学の電気化学/エネルギー研究所(MEET: Münster Electrochemical Energy Technology)をたずね、Liイオン電池の将来動向とドイツ政府が力を入れているE-Mobilityについて意見交換をしてきました。
Münster大学は1780年創立、学生とスタッフ合わせて5万人を越えるマンモス大学で、新しく創設されたMEETはドイツE-MobilityプロジェクトのうちLiイオン電池研究開発の基礎研究と研究開発プロモートの役割を担っています。
ドイツのLiイオン電池技術は、日本に比べ進んでいるわけではありませんが、基礎技術に力をいれ、これからキャッチアップしリードしようと意気込んでいるようです。しかし、懇談会、昼食をご一緒しましたが、こちらの語学力不足を除いても、E-Mobilityについてホットな話題は聞こえてきませんでした。

またデュッセルドルフでは、いぜんからお付き合いいただいているドイツ在住の日本人技術コンサルタントの方と欧州・ドイツの環境自動車の動向について議論をする機会をもちました。彼の話では、E-Mobilityプロジェクト自体もこのところ少し様相が変わっており、自動車の電動化ムードにややブレーキが掛かり、一時は下火になっていた水素燃料電池自動車のテーマが盛り返してきて、MEETの資金集めも壁にぶつかっているのではと言っていました。
ほんの短期間の滞在と、短い意見交換の時間でしたので即断は早計ですが、前にブログにとりあげた今年のフランスフルトASでの話題(9月29日)での感想を裏付けるように、EVの方向としては小型コミューターに絞り、またその欧州でのマーケットがそれほど拡大しないとの読みから、アジア、中国への参入を狙い始めたのではと意見で一致しました。 
これは深読み・勘ぐりに過ぎませんが、これに影響した一因が、Fukushimaのようで、Fukushima後、脱原発に一早く舵を切ったドイツですが、脱原発のためには太陽光、風力では力不足、石炭火力の維持と天然ガスと化石燃料発電の依存度を高めるしかなく、新規電力需要となる電気自動車に水がさされてきたのではないでしょうか?

ドイツはプリウスが少ない

もう一つ、ドイツ・デュッセルドルフでは、フランスに比べ、プリウスを見かけることが極めてく少ないと感じました。パリではタクシーとしては極めてポピュラーな存在となっており、ストラスブールなど地方都市でもタクシーとして使われています。もちろんタクシー以外の個人、法人用としても使われていますので、日本ほどではないにしてもプリウスはヨーロッパの日常の光景の中であたりまえのクルマとの印象でしたが、ドイツでは全く様相が違っていました。
デュッセルドルフは日本人が多い街、その日本人の方々に使って頂いている以外にはないのではと思うぐらいの少なさです。欧州のいろいろな国を回っているわけではありませんが、これぐらい少ないと感じたのは、ドイツとデンマークだけでした。デンマークではハイブリッドに対する税制優遇がなく、販売価格としてどうしても割高となるハイブリッド車は売れないとの話を聞きましたが、ドイツも同様の様子で、さらに速度無制限アウトバーンの国であり、高速走行に強く、燃費もハイブリッドよりも場合によっては良いというドイツ・ディーゼル車神話が今も健在との印象から、なかなかハイブリッドがドイツマーケットには入りきれていないように感じました。
下の写真の通り街に駐車しているクルマをみても、比較的新しいドイツ車が多く、また中型以上が結構目に付く印象です。タクシーはさすがドイツ、ディーゼル車がほとんど、その中でもベンツEクラスがよく使われていました。これもプリウスがよく使われ、小型車が多いパリとの大きな違いです。
欧州の都市部ではディーゼルによる粒径の小さな浮遊粉塵PM2.5 (パティキュレート)が環境問題として浮上してきます。都市部での、自動車のり入れ制限、コミューターEV導入政策も地球温暖化緩和のためのCO2排出抑制の他に、これまではガソリン車よりは緩い排気規制により乗用車にもディーゼル優遇とし、低燃費=低CO2クリーンディーゼルを売りとしてきた付けが回ってきたとの見方は、ガソリンハイブリッド屋のひがみだけではないようです。
ドイツの次世代自動車がどの方向に行くのか、まだ見極めはできませんが、日本メーカーにはアウトバーンでも通用するドイツの人たちをも納得させるハイブリッド車で勝負をかけて欲しいと思います。

欧州の駐車事情から次世代モビリティを見る

欧州都市の駐車事情は上の写真にあるデュッセルドルフに限りませんが、路上、路側帯の駐車があたりまえ、郊外を除くと自宅やオフィスに専用駐車場を持っているクルマは多くありません。またあったとしてもその駐車スペースは非常に狭く、大型車なら降車もやっとといった状況です。
都市では集合住宅も多く、その場合も路上駐車、高額な専用駐車場があってもその駐車スペースは狭く、プラグイン自動車の普及にはその路上駐車、狭い専用駐車場での充電コンセント設置をどうするかなど大きな課題があります。
パリでは先週もご紹介したAutolibの充電ステーションの他にも路上および公共駐車場、大型ショッピングセンターなどで充電ステーションを見かけることが多くなってきましたが、ドイツではそのMuster大MEETの玄関前に一基見つけただけ。まだまだこれからの印象で、それもE-Mobility見直しでどうなっていくか判りません。

ケーニッヒアレーの路側駐車帯

デュッセルドルフ中心街
ケーニッヒアレーの路側駐車帯

上の写真は先週お伝えしたパリでの工事中のAutolib充電ステーションです。このような工事がパリ市内の至る所でおこなわれています。一カ所あたり5基、そのうち一基は、会員になると個人用のEVやPHVの充電ができるそうで、このようにパリ市当局が従来駐車スペースを力ずくでAutolib駐車ステーションに転用したり、またフランスで動きだいているように、住宅や集合住宅の新設では、プラグイン自動車の充電設備設置を義務づける法規制など、法的な強制力がないとなかなか普及は加速していかない印象です。

Autolib充電ステーション工事現場

Autolib充電ステーション工事現場
パリ市内ポートマイヨール付近

法規制による普及は、ZEVの例にみるまでもなく、ユーザに受け入れられないレベルの商品ではマーケットを歪め、普及の阻害にもなりかねませんが、このフランスのような強制的な普及策と、ドイツの現時点ではマーケットまかせのやりかたと、どちらがエネルギー・環境政策としての実効をあげ、また国民のアクセプタンスを受けられるのか見守って幾必要があると思います。
欧州での印象は、次世代自動車としてのEVブームがターニングポイントを迎えたというものですが、折から開催された東京モーターショーではまだ、EVブームまっただ中の印象、その中でもエコだけではなくFun to Driveをアピールポイントとするクルマもでているようですので、それはみてからの判断としたいと思います。