ジュネーブショー短観

2月の末から2週間ほどスイス・フランスと周る欧州出張に行ってまいりました。それに伴い、先週はブログの更新を休んでしまいました、すみません。
今週は、武久代表が出張後のまとめなどに追われている状況ですので、まもなく閉会するジュネーブショーについて、八重樫尚史が写真を多めにお伝えします。
なお、我々が訪れたのは3月2日、一般開催日ではなくプレスデーの二日目となります。

二極化する自動車

今回のジュネーブショーは欧州開催のモーターショーとしては、昨年の秋に開催されたパリオートサロンに続くもので、ドイツ・フランス・イタリアという欧州の自動車大国に囲まれたスイス、それもプライベートバンクが集中し世界の資産家が頻繁に訪れるジュネーブという土地を反映して、イタリアのカロッツェリアやドイツのチューナー、そして高級車メーカーが大きな存在感を見せる独特の空気を纏ったショーとなっていました。

昨年のパリショーについては2回に渡って(前編)(後編)代表が感想を述べていますが、今回のショーはジュネーブショー独特の志向と相まって、環境を意識しすぎた感のあるパリショーに対する各自動車メーカーの反省と「本音」が垣間見えるショーになっていたように思えます。そしてこのショーから僕が読み取ったのは、二極化を迎えようとする自動車業界の未来でした。

駅でのリーフ展示

駅に設けられた欧州カーオブザイヤーを受賞したリーフの特別コーナー

日産エアフロー

日産エアフロー

誤解を招くのは承知の上で書くと、僕の目には「安価・利便性・小型・キュートさ・環境」の世界と、「高級・嗜好性・大型・セクシーさ・(環境)」の世界の二つに分かれていく自動車業界の姿が読み取れました。特に欧州メーカーは露骨にこれを示す展示を行っており、環境対応を唄う小型車とともに大型の高級スポーツ車もしくはユーティリティ車を華々しく展示するブースが会場のアチラコチラに見受けられました。

BMWブース

BMWブース

アウディブース

アウディブース

フォードブース

フォードブース

フェラーリブース

フェラーリブース

穿った見方でみれば「環境対応車」の開発を「免罪符」にして、大型の高級車を紹介しているようにすら思えるほど、これはセットになっていました。気になったのは日産を除く日本メーカーでこの潮流を読み違えたのか、散漫な展示に留まっていたケースが多かったように思えます。特に大手メーカーに限定すればワーストブースがホンダ・トヨタであったことはプレスデーであったことを差し引いてもそこにいる人の数から明白でした。

日本メーカーはどちらへ向かう?

また、このジュネーブショーで目立っていたのは、近年めざましい成長を見せているヒュンダイやキアといった韓国メーカーのプレゼンスの向上です。環境対応車を複数種用意するなど、体力の向上をみせており、日本メーカーにはない目新しさから少なくない注目を集めていました。

ヒュンダイBlueOn-EV

ヒュンダイBlueOn-EV

キアoptimaハイブリッド

キアoptimaハイブリッド

また、新興国でいえばインドのタタもEVを展示し、かなり注目されようでした。

タタpixel

タタpixel

中国からはBYDが展示を行っていまいましたが、プレスの展示を見る顔がやや苦笑がちだったのは僕の気のせいではないはずです。

BYDブース

BYDブース

さきほど、僕は自動車業界の二極化の話をしました。おそらく、こうした自動車新興国の国々のメーカーはさきほど僕があげた「安価・利便性・小型・キュートさ・環境」の世界の制覇を目指すものだと思います。逆に欧州は自らの強みである「高級・嗜好性・大型・セクシーさ・(環境)」の世界を守ろうとするでしょう。

そろそろ、日本のメーカーもそれぞれがどちらに向かうのか決定しないといけない時期にさしかかっているのではないでしょうか?